事実婚状態になっている相手がいるが解消したくなった場合、何か特別な手続きは必要なのかは気になるところです。
また、特に事実婚状態が長くなっていた場合や、相手方に事実婚の解消について帰責事由があるような場合、慰謝料や財産分与などの請求を考える場合も多いです。
本稿では、事実婚を解消する方法や請求できるもの・できないものについて解説していきます。
事実婚について
まずは、事実婚とはどのような状態を指すのかについて確認しておきましょう。
事実婚とは、実質上は婚姻をしているのと同じ状態にあるが、婚姻届の提出は行っていない状態のことを指します。
「実質上」という部分の判断方法としては、①婚姻関係を形成することについてのお互いの合意②社会的に見て婚姻していると言えるだけの生活の実態を挙げることができます。
結婚との違いとしては、法的な婚姻関係が認められておらず、相続の際に相手方が法定相続人の地位に立つことがないことや、戸籍上別々の扱いを受けること、配偶者控除など結婚している場合に認められる様々な制度が利用できないことなどが挙げられます。
事実婚を解消する方法
事実婚解消の際には、結婚の場合と異なり特別な手続きは必要ありません。
解消についてお互いの合意があれば、そのまま事実婚は解消となります。
また、合意がないような場合でも、片方の意思によって共同生活をやめ、実質上婚姻をしている状態から外れてしまえば、その時点でやはり事実婚は解消となります。
もっとも、正当な理由のない解消であった場合、相手方から慰謝料請求をされてしまうこともあるため、注意が必要です。
正当な理由の判断方法は結婚の場合と共通し、不貞や悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復の見込みがない強度の精神病や事実婚を継続しがたい重大な事由がある場合には、慰謝料請求には応じる必要がない可能性が高くなります。
事実婚解消の際に請求できるもの・できないもの
では、事実婚解消の際にはどのようなものが請求できる・できないのでしょうか。
損害賠償請求
損害賠償請求については、事実婚を解消した側が行う場合とされた側が行う場合の2通りがあります。
まずは解消した側が行う場合ですが、相手方に事実婚解消の帰責事由があるときに、それについての損害賠償請求を行うことが考えられます。
例えば、相手方に不貞行為があった場合などが考えられます。
次に解消された側が行う場合ですが、事実婚を解消されるにあたって正当な理由が存在しなかった場合、事実婚の不当な破棄に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
財産分与
財産分与については、事実婚解消の場合も行うことが可能とされています。
事実婚をしている中で事実上の夫婦が築いた財産に関して、財産分与の対象とすることができます。
年金分割
年金分割につきては一部の限度で、具体的には事実上の配偶者の扶養に入っていた旨の届出がされていた期間についてのみ請求が認められることになります。
養育費
養育費については、父親が子に対して認知をしていた場合にのみ請求をすることができます。
婚姻費用について
婚姻費用については、法律婚とは異なり原則的には請求ができないと考えられています。
離婚問題についてはMYパートナーズ法律事務所にご相談ください
事実婚を解消することは何らの手続きなく可能ですが、請求ができる項目については法律婚の場合と比べ限定がなされています。
事実婚を解消したい場合や、それに伴い何らかの請求を行いたい場合には、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
MYパートナーズ法律事務所では、離婚問題に関するご相談を承っております。
離婚問題に関する手続きにお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。