離婚するためには、双方の同意か法定離婚事由に該当することが必要です。
話し合いで済む場合もあれば、議論が進まず、離婚になかなかたどり着けない場合もあります。そうしたときに、離婚調停という選択肢があります。
しかし、この離婚調停は必ず首尾よくいくというものではありません。
今回は、離婚調停が不成立になった場合の対処法について解説します。
■離婚調停が不成立になる場合
離婚調停とは、夫婦の当事者同士の話し合いで離婚の合意ができなかった場合に、家庭裁判所に申し立てを行い、調停委員などの第三者を交えて話し合いを行うものです。
離婚調停は夫婦間で離婚の合意を目指すために行われるもので、最終的な判断は当事者によってなされます。
したがって、必ずしも離婚調停によって離婚が成立するわけではないのです。
離婚調停が不成立になる場合として以下のようなケースが挙げられます。
・当事者同士の対立が激しく、話し合いによる調停が不可能と判断されるケース
・片方が調停の呼び出しに応じず、話し合いそのものができないケース など
上記のようなケースで、調停委員会が調停は困難であると判断すると、離婚調停は不成立となります。
離婚調停が不成立となったら、家庭裁判所から「不成立証明書」を発行してもらうことが可能です。
この「不成立証明書」がないと離婚訴訟を提起できません。
■離婚調停が不成立になったらどうすればよいのか
当事者同士の対立が激しく、離婚調停が不成立となった場合、次の手段は主に3つです。
1.再度、協議する
協議を再開するタイミングは事例によって異なりますが、忍耐強く説得や議論を続けていくことで離婚の合意を得られる可能性はあります。
2.ある程度の時間を置いて、再度、離婚調停を申し立てる
離婚調停に制限回数はありません。調停が不成立になったとしても何度でも申し立てることができます。
こちらもタイミングは事例により異なります。事例によっては、離婚調停が不成立の後、別居期間を経て離婚調停を申し立てる場合もあります。
3.離婚裁判を提起する
当事者の合意が得られないで離婚するためには、この離婚裁判で法定離婚事由に該当すると認められる必要があります。
法定離婚事由とは、民法770条1項に定められている5つの離婚を可能にする事由です。具体的には以下の通りです。
・配偶者に不貞な行為があったとき
配偶者以外の人と肉体関係を持った場合、貞操義務に反する不法行為とみなされ、離婚が認められます。
・配偶者から悪意で遺棄されたとき
これは、生活に必要なお金を渡してくれなかったり、正当な理由がないにもかかわらず同居しなくなったりなどした場合です。何一つ家事をしなかったという状況もあてはまる可能性があります。
実際に、裁判において有効かどうかは個別具体的な状況によって左右されます。
・配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
配偶者と連絡も取れず、三年以上生死不明の場合です。
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
回復の見込みについては医師の判断が必要です。
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
上記4つ以外の理由で、夫婦関係が既に破綻している上、その修復が困難であると判断された場合は、これにあてはまります。
例えば、DVやセックスレス、宗教や金銭面でのトラブルなどが挙げられます。
実際に、裁判において有効かどうかは個別具体的な状況によって左右されます。
これらの法定離婚事由を裁判において認めてもらうには専門的な知識や準備が必要になるため、弁護士への相談をおすすめします。
■離婚調停を不成立にしないために必要な準備
離婚裁判などは、専門的知識が必要な上、時間もかかります。
したがって、そもそも離婚調停を不成立にしないような準備が重要になります。
必要な準備として、以下のものが挙げられます。
・離婚の理由とその根拠を用意する
配偶者に対しても調停委員に対しても、明確な主張とその根拠は必要不可欠です。
調停が始まる前にできるだけ多くの証拠を集めることをおすすめします。
・離婚の条件を決めておく
離婚調停においては、離婚の条件を決めていきます。
したがって、親権や慰謝料、養育費など対立している問題に対して自身の条件を事前に決めておく必要があります。
・弁護士を活用する
離婚調停にあたって必要な証拠、離婚条件の整理などは一人では限界があります。
経験もある専門家に任せることで、しっかりとした準備ができた状態で離婚調停に臨みやすくなります。
また、冷静に正確に調停委員に事案を伝え、法律に基づいた主張と根拠を用意し、足りない部分を補充することにより調停を有利に運びやすくなります。
さらに、弁護士が調停の際に同席することから、ある程度の安心感も得られるかもしれません。
■まとめ
今回は、離婚調停が不成立になった場合の対処法について解説しました。
離婚調停が不成立になっても離婚ができる可能性がなくなったわけではありません。再度の調停や離婚裁判といった対処法があります。
しかし、時間や費用がかかる場合もあり、多くの人にとって望ましいのは離婚調停の段階において離婚が成立することではないでしょうか。
離婚調停を成立させるために、弁護士の知識や経験が役に立ちます。
離婚に関してお悩みの際は、弁護士への相談をおすすめします。
MYパートナーズ法律事務所では、東京都荒川区、足立区、文京区、葛飾区、千葉県松戸市を中心に、一都三県の離婚問題に関するご相談を承ります。離婚問題についてお困りの際は当事務所までお尋ね下さい。
離婚調停が不成立になった場合の対処法
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