養育費は子どもの生活を保障するための費用であり、離婚してもなくならない親の義務のひとつです。
しかし、元配偶者が無職になった場合、「支払いは請求できるのか」「実際に受け取れるのか」と不安を感じる方もいらっしゃると思います。
本記事では、無職の相手に対する養育費請求の可否や、実際に請求する際の方法について説明します。
無職でも養育費の支払い義務はなくならない
結論からいうと、たとえ相手が無職になったとしても、子どもに対する養育費の支払義務がなくなることはありません。
しかし、法律上の義務があることと、実際に回収できるかどうかは別の問題です。
相手に本当に収入も資産も全くない場合、強制執行をしても回収できる財産がなければ、回収はできません。
ただし、相手が「無職で資産がない」と主張してきたからといって、その言葉を鵜呑みにするのも危険です。
実際には働いているのに無職だと偽っていたり、給与以外の収入や資産があったりするケースもあるため、実態を見極めることが大切です。
無職と主張する相手に養育費を請求できるケース
無職と主張する相手に養育費を請求できるケースとして、以下のようなものが挙げられます。
無職を騙っている
養育費の支払いを免れるために、実は働いているのに「無職」と偽っている場合は、当然、養育費は請求できます。
自営業者やフリーランス、日雇いの仕事などでの現金収入など、記録が残りにくい形で所得を得ている場合は隠しやすいため注意深く調査する必要があります。
不労所得や資産がある
無職で給与所得がなくても、家賃収入、株式の配当金、親からの相続財産といった不労所得や資産を持っている場合があります。
これらはすべて、養育費の支払い原資となるため、これらの存在を証明できれば養育費を支払うよう請求することが可能です。
無職を騙る相手に養育費を請求する手順
無職を騙る相手に養育費を請求する手順は以下の通りです。
■1.協議や内容証明郵便で支払いを求める
まずは当事者間で協議し、養育費の支払いについて合意形成を目指します。
話し合いに応じない、連絡が取れないといった場合は、内容証明郵便で請求書を送付し、支払いを促します。
■2.養育費請求調停の申立て
合意形成や内容証明郵便の送付後も養育費が支払われない場合、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。
調停委員を介して支払いについて協議し、合意できれば「調停調書」が作成されます。
■3.強制執行
調停などで決まった養育費が支払われない場合は、相手の預貯金口座などを差し押さえ、養育費を強制的に回収する「強制執行」の申し立てを行います。
まとめ
元配偶者が無職になったとしても、養育費の支払い義務はなくならないため、話し合いや調停、強制執行といった法的な手続きで請求することが可能です。
ただし、相手が本当に無職で資産も何もない場合は、請求しても養育費を回収することは困難です。
しかし、養育費の支払いを免れるために「収入を隠している」といったケースもあるため、本当に支払い能力がないのか見極めることが重要です。
相手が無職を騙っている可能性がある場合、収入状況・資産状況の調査や養育費の交渉が必要ですが、専門的な知識と交渉力が必要となるため、弁護士への相談も検討してみてください。






