被相続人が死亡した場合、相続が発生します。
相続とは、被相続人が死亡時に有していた財産や、帰属していた債務について、包括的に相続人に承継することをいいます。
死亡した者には権利義務が帰属しないため、帰属先の失った財産や負債は、相続人に承継されます。
誰が相続人になるかは法律上定められており、配偶者は常に相続人となり、第1順位の相続人が子ども、第2順位の相続人が親、第3順位の相続人が兄弟姉妹となっています。
では、相続人となる者がいない場合や、判明しなかった場合、遺産はどうなるのでしょうか。
この点、特別縁故者にあたる者からの申し出があり、裁判所が特別縁故者と認めれば、遺産の全部または一部を特別縁故人に与えることができます。
そして、特別縁故者もいないような場合には、遺産は国庫に帰属します。
特別縁故者申立ての流れ
① まず、相続人があることが明らかではない場合、相続財産は法人とします(951条)。
すなわち、承継先が見つからない以上、まずは財団法人としての実体を備えるということです。
②次に、利害関係人や検察官の請求によって、相続財産の清算人を家庭裁判所が選任します(952条1項)。
そして、これを選任したとき、家庭裁判所は遅滞なく、相続財産清算人を選任したこと、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告します。
③②の公告があった場合、相続財産の清算人は、すべての債権者と受遺者に対し、2週間以上の期間を定め、その期間内にその請求の申し出をすべき旨を公告します(957条1項)。
④②で定めた期間内に相続人としての権利を主張するものが現れなかった場合には、当該期間の満了から3か月以内に特別縁故者は申し立てを行うことができます(958条の2第1項2項)。
⑤特別縁故者であることが家庭裁判所によって認められれば、家庭裁判所の決定により、遺産の全部または一部を受け取ることができます。
逆に、特別縁故者として認められなかった場合や、そもそも特別縁故者として請求の申し立てを行った者がいなかった場合には、相続財産は国庫に帰属します。
特別縁故者と認められるためには、「被相続人と生計を同じくしていた者」にあたる事が求められます。
例えば内縁の妻・夫、これらの者との間の子で認知していない者が挙げられます。
また、「被相続人の療養看護に努めた者」も特別縁故者と認められますが、看護師や家政婦など、金銭を受け取って療養看護に努めた者はこれにあたりません。
最後に、「その他被相続人と特別の縁故にあった者」が挙げられますが、これは当該具体的な事情から判断せざるをえません。
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上述のように、相続が発生すると相続財産は所有権の帰属先を失うため、何らかの形で承継されます。
承継先は原則として相続人と受遺者(遺贈を受けたもの)ですが、例外的な場合に限り、特別縁故者にあたり、財産を取得できます。
もっとも、自身が特別縁故者にあたるのかどうかの判断は容易ではありません。
文言上「療養看護に努めた者」にあたりそうですが、金銭の取得をしていたために認められないことがあるように、要件の検討は専門的な知識が求められます。
そのため、特別縁故者にあたるとして請求を申し立てる際には、弁護士に相談することが好ましい場合もあります。
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