婚姻期間が20年以上の夫婦が離婚することを熟年離婚といいます。
熟年離婚の場合、婚姻期間が短い夫婦に比べ財産分与の話し合いが複雑になることがあります。
今回は、熟年離婚で後悔しないために押さえておくべきポイントについて考えていきたいと思います。
熟年離婚をするときのポイント①退職金
熟年離婚をするときのポイントとして退職金があります。
退職金というと、個々が勤めている会社から支給されるお金なので、離婚とは関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、退職金は後払い制の給料とみなされるため、支払いが離婚後であっても財産分与の対象となりえます。
ただし、退職金全額がすべて財産分与の対象となるわけではなく次のように計算されます。
財産分与の対象となる退職金= 退職金 × 婚姻期間 ÷ 勤続年数
退職金は老後を過ごす資金になり得るため、分与額は夫婦間でしっかり話し合って決めた方が良いといえます。
熟年離婚をするときのポイント②年金分割
熟年離婚をするときに押さえておくべきポイントとして年金分割があります。
年金分割とは、離婚後に夫婦の厚生年金の一部を分割し、受給できるようにする制度のことをいい、合意分割と3号分割の2種類があります。
■合意分割
夫婦の合意のもとで年金を分割する方法です。
対象となるのは婚姻期間中の厚生年金で、分割割合は最大で50パーセントと決められています。
通常は夫婦間の話し合いで割合が決められますが、できない場合は、家庭裁判所で離婚調停を申し立てて話し合うことになります。
■3号分割
ご自身が、専業主婦(夫)などで第3号被保険者だった場合、自動的に2分の1に分割される制度のことをいいます。
合意苦分割とは異なり、請求すれば確実に分割できる方法といえます。
熟年離婚の場合、状況によって合意分割と3号分割を併用することも可能であるため、ご自身で確認しておく必要があります。
なお、年金分割を受けるには離婚後2年以内に年金事務所へ申請する必要があります。
熟年離婚は弁護士への相談を検討すべき
熟年離婚では、長年の結婚生活で築いた共有財産が多く、お金に関して話し合うことが多くなりがちです。
お金に関する取り決めは争いになりがちであることや、夫婦間の力関係によっては相手方が財産分与を拒否するようなことが想定されます。
このような場合に、自力で解決しようとすると争いが激化したり、老後の資金を十分に確保できず、後々生活が苦しくなってしまったりというトラブルが起こりえます。
そのため、熟年離婚する場合には、不安に感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は依頼者が望む結果が得られるよう、弁護活動を行ってくれます。
まとめ
今回は、熟年離婚で後悔しないために押さえておくべきポイントについて考えていきました。
熟年離婚する場合、老後の資金を考慮して話し合いを行わないと後になって大きな不利益を被る可能性があります。
そのため、自力ではどうにもできないと感じたときには弁護士への相談を検討してみてください。