離婚に伴う財産分与の対象となるのは、「婚姻期間中にその協力によって得た財産」(=共有財産)です(民法768条3項)。
具体的には、現金、預貯金、不動産、年金(保険料)、自動車、生命・損害保険料、株式・債権などで、住宅ローンや借金など、夫婦の共同生活を営む上で生じたマイナスの財産も対象となります。退職金も、すでに支給されている場合には、財産分与の対象となると解されており、これを認めた裁判例もあります(東京高判昭58.9.8判時1095号106頁、広島家審昭63.10.4家月41巻1号145頁ほか)。問題は、離婚時にはまだ退職金が支給されていない場合ですが、退職金は在職中の労働の対価であるという性格に鑑み、将来支払われるべきであろう退職金についても、勤務期間に占める婚姻期間の比率を乗じた額を財産分与として認めるべきという考え方が有力です。
一方、例外的に共有財産から除かれ、各自の財産とされるものがあります。これを「特有財産」といい、財産分与から外され、個人のものにすることができます。例えば、独身時代から持っていた預貯金は、配偶者の協力によって得たわけではないので、特有財産となりますし、結婚前にした株式投資が今になって成功したなど、特有財産を資金とした投資の利益なども特有財産として認められます。
親や親族から相続した資産も特有財産であり、財産分与の対象外です。相続する権利は、相続する本人のものだからです。そのため、相続したのが借金だった場合も特有財産となるので、離婚後に相手方配偶者に返済の義務を負わせることはできないので注意しましょう。
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財産分与の対象となるのは?
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