「遺留分減殺請求」は、民法改正により、「遺留分侵害額請求」と名前を変えました。
そこで、これまでの遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へと改正されたことで、何がどのように変化したのか、2つの制度を比較しつつ分かりやすく解説していきます。
●これまでの遺留分減殺請求
そもそも「遺留分」とは、被相続人(亡くなった方)と一定の関係にある相続人が、被相続人の遺産を最低限獲得できる権利のことをいいます。
例えば、遺言などにより遺産を受け取ることができなくなった場合、相続人は「遺産をもらえる」との期待を害されてしまいます。
これが「遺留分侵害」と呼ばれるものになります。
こうして侵害された遺留分を取り戻すための請求を、「遺留分減殺請求」と言っていました。
●遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違い
それでは、改正前と改正後で何が変わったのでしょうか。
まず、遺留分減殺請求では、遺留分が侵害されている場合、遺留分権利者(遺留分が認められている相続人)が請求を行うと、請求された側は、その分の財産を返還しなければなりません。
その返還にあたり、特徴があります。
まず、原則として現物返還という点です。現物返還とは、受け取った財産をそのままの状態で返すということをいいます。
つまり、土地を受け取った場合にはその土地を、現金を受け取った場合にはその現金を返すということです。
そして、受け取る財産を選択できないという点です。
例えば、遺産に預金と建物が含まれていた場合、遺留分権利者は建物が欲しいからといって建物だけを請求するということはできません。
このように、従来の遺留分減殺請求には、受け取る財産を選択できないこと、現物返還をすることという特徴がありました。
一方、改正後の遺留分侵害額請求では、「遺留分侵害」が起こると、名前の通り、「侵害」された金「額」を請求することになります。
このため、財産の返還方法は、現物返還から現金での返還に一本化されました。
現金での返還は、物のやり取りが少なく済むため、比較的スムーズに行われるというメリットがあります。
しかし、土地や建物といった財産そのものを返してほしいといったニーズに応えることはできない制度でもあります。
以上をまとめると、改正後の遺留分侵害額請求では、現金で遺留分を取り戻すことができるようになった一方で、現金以外での財産返還はできなくなったといえます。
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遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)
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