相続が発生した場合、被相続人の生前、家業を手伝ったり、介護を主体的に行っていたりすると、寄与分を請求できる可能性があります。
とはいえ、相続人間の関係性によっては、請求を拒否されるなどのトラブルが起こることもあります。
今回は、相続でトラブルになりやすい寄与分について考えていきたいと思います。
相続における寄与分とは?
相続における寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人が、相続分とは別に受け取ることのできる財産を指します。
寄与分が認められるには以下の条件をすべて満たしている必要があります。
1.無償で寄与して財産が維持されていたり増加したりしていること
2.寄与の行為が扶養義務の範囲を超えていること
3.被相続人が寄与の行為を必要としていたこと
それぞれ確認していきましょう。
1.無償で寄与して財産が維持されていたり増加したりしていること
寄与分が認められる1つめの条件は、相続人の寄与の行為が無償であり、またその結果、被相続人の財産が維持することができたり、増えたりしていることです。
被相続人の家業を手伝いにより報酬を得ている場合には、被相続人の財産が増えたとしても、対価を得ているため寄与分は認められません。
2.寄与の行為が扶養義務の範囲を超えていること
寄与分が認められる2つめの条件として、扶養義務の範囲を超えていることです。
相続人となる者には、それぞれ程度は異なるものの扶養の義務があります。
介護行為が、扶養の範囲の義務であるときには、寄与分は認められません。
寄与分が認められる具体的な例として、被相続人の娘が寝たきりの父親と同居して5年間にわたり、費用を自費で捻出し、献身的に介護を行うようなケースなどが考えられます。
3.被相続人が寄与の行為を必要としていたこと
寄与分が認められる3つめの条件は、相続人が行う寄与の行為が被相続人に必要なものであったかどうかです。
被相続人が健康なときに、介護にあたるような行為をしても、被相続人の財産の維持に寄与しているとはいえないため寄与分は認められません。
まとめ
今回は相続でトラブルになりがちな寄与分について簡単に紹介していきました。
相続人が寄与分の請求が認められるための条件は、とてもハードルが高く、またその行為によっては他の相続人に了承を得られないこともあります。
そのため、寄与分の請求を考えた場合には弁護士への相談、依頼を検討した方が良いでしょう。