相続によって引き継ぐものには、預貯金などの財産だけでなく、借金がある場合はその借金も含まれます。
財産が少ない一方で、借金は多いというような状況では相続放棄をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、親の借金を相続放棄したらどうなるのかについて解説します。
■親の借金を相続放棄したらどうなる?
相続放棄をした人は、その相続においてそもそも相続人ではないとみなされます。
したがって、親の相続を放棄した場合、基本的にはその借金を返済する義務を負うことはありません。
ここでいう借金の代表例として以下のようなものが挙げられます。
・被相続人である親名義の金融機関からの借入
・被相続人である親名義の各種ローン
・被相続人である親が滞納してしまっていた税金 など
なお、相続放棄をしたからといって借金自体がなくなるわけではありません。
相続放棄をした人以外に相続人がいた場合、他の相続人に返済義務が課されます。
借金の返済義務を負うのは、法定相続人です。
このとき、どの法定相続人がどのような借金を相続することになるかは、相続の順位によって決まります。
・法定相続人が被相続人の配偶者と子の場合
この場合、配偶者が1/2、子どもが1/2です。
子どもが複数人いる場合は、子どもの法定相続分の1/2を人数で等分します。
・被相続人に子どもがいない、もしくは、子どもが全員相続放棄した場合
この場合、配偶者が2/3、被相続人の親や祖父母(直系尊属)が1/3です。
なお、被相続人の親や祖父母に関しては、被相続人と血縁関係が近い方が法定相続人です。
親(または祖父母)が複数人いる場合は、1/3を人数で等分します。
・被相続人の子どもも親や祖父母(直系尊属)もいない、もしくは、全員が相続放棄した場合
この場合、配偶者が3/4、被相続人の兄弟姉妹が1/4です。
兄弟姉妹が複数人いる場合は、1/4を人数で等分します。
それでは、相続人全員が相続放棄した場合はどうなるのでしょうか。
相続財産に預貯金や貴金属などの借金の返済に当てられる財産があれば、相続財産管理人が選任され、その財産を返済にあてます。
■相続放棄できない場合
これまで、相続放棄についてみてきましたが、相続放棄ができない場合もあるので、注意が必要です。
相続放棄ができない場合として以下のものが挙げられます。
・相続発生を知ってから3カ月以内に相続放棄をしなかった場合
・相続財産を一部でも使用した場合
・相続分の借金を一部でも返済した場合
・被相続人が存命の場合(生前の相続放棄)
相続放棄は、手続きが煩雑な場合があったり、専門的な知識が必要になったりすることもあるため、不安があれば弁護士への相談をおすすめします。
弁護士が専門的な知識を持っていることはもちろん、代理人として煩雑な手続きをスムーズに行うことができるからです。
■まとめ
今回は、親の借金を相続放棄したらどうなるのかについて解説しました。
基本的には、相続放棄をすると借金の返済義務を負うことはありません。
ですが、相続放棄には相続を知ってから3カ月以内という期限があります。
相続が発生すると、被相続人は葬式の準備などで多忙となり、3ヶ月という期間は短いため、相続放棄の期限が過ぎてしまう可能性があります。
スムーズで適切な手続きのためにも相続放棄を視野に入れている場合は、弁護士に早めに相談することをおすすめします。
MYパートナーズ法律事務所では、東京都荒川区、足立区、文京区、葛飾区、千葉県松戸市を中心に、一都三県の相続に関するご相談を承ります。相続放棄でお困りの際は当事務所までお尋ね下さい。
親の借金を相続放棄したらどうなる?
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